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取材ノートvol.1 有限会社奥進システム

2011年10月20日11時10分更新

奥進システムは、オープンソースを使ったシステム開発、インターネットを活用した 業務管理システムの開発などを行っている大阪の会社です。 現在同社では6人の従業員のうち、4人が障がい者であり、 健常者と自閉症、発達障がい者がともに生活するためのツール『うぇぶサポ』の普及にも力を入れています。 同社代表である奥脇学さんに、会社設立からの経緯をインタビューしました。

——今の会社を作るまでの経緯を教えてください。

昔からコンピューターが大好きで、コンピューターが社会にどんな役割を果たすことができるのかと いうことにずっと興味がありました。もともとある会社でSEの仕事を13年間していたのですが、 東京勤務だったため、家族と離れて生活しており、1人目の子どもが生れた時もいっしょに 暮らせませんでした。 オープンソースでわかるように、もともとコンピューターは分散開発が可能で、場所に縛られない 仕事ができるはずです。コンピューターの可能性と、家族のあり方を両方見つけられるのではと 考えて独立を決めました。

——最初から障がいのある人の雇用を考えていたのですか。

実はそうではないんです。仕事をする能力があっても仕事ができない人が在宅で働けるよう、 SOHOのネットワークを作ろうと考えていました。その中で、母子家庭や障がいを持っている人に かかわる団体をまわっていました。 ただ障がいを持っている人の中で、自分たちが求めるスキルを持った人がなかなか見つからず、 最初は正直落胆しました。福祉に関わる人はコンピューターが苦手な人が多いのか、 ワードやエクセルはできてもプログラミングができる人は皆無でした。 窓口に行くだけでは、そんな人は見つからないのだろうかと思っていた時、 大阪市職業リハビリテーションセンターから、御社で働きたい訓練生がいるので、 まずは実習を頼めないかという相談が寄せられたのです。

——その時、どんなことを考えられましたか。

当時、会社は経営的に苦しく、採用や実習を受け入れられる状況ではなかったのですが、 仲間が見つかればうれしいなと思って、とにかく彼に会いに行きました。 彼は頚椎損傷で1級の障がいを持っていましたが、「社会とつながるために仕事をしたい」という 思いに共感し、受け入れを決めました。

——不安はありましたか

仕事面ではあまり心配していませんでした。彼はいい先生に恵まれていましたし、 4、5ヵ月実習して、業務に必要なことを覚えてもらえば大丈夫だと思いました。 ただ重度の障がいを持っているので、うちの事務所で働けるだろうかという不安はありましたが、 仕事はできるのだから、手伝えることを手伝えばなんとかなるのではと考えていました。 私の下の子どもが自閉症と診断されていましたので、障がいを持った人と働くことには抵抗感はなく、 わからないものは考えていてもわからない。まずやってみて考えようと思いました。

——実際に一緒に働いてみてどうですか。大変だと思うことはどんなことですか。

大変だと思ったことは一度もありません。 行き帰りを送り迎えする。体調が悪くなると寝かせる。自分で横になれないので、 都度手伝う必要はありますが、それは別に大変なことでもありません。 彼の入社の一年後に、彼の推薦で後輩が入社しました。彼も頚椎損傷で1級の障がい者で 電動車いすでしか移動できません。 それをきっかけに、間借りしていた事務所から今の事務所に移転してバリアフリーに改装しました。 これも助成金をもらったので、そんなに大変なことではありません。

——やはり在宅勤務中心の勤務なのですか

最初は出勤が大変だろうと、在宅勤務4日、事務所勤務1日にしたのですが、在宅が多いと 逆に本人が悩むことがわかって、2人とも出社日を増やし、週3日出勤にしました。 周りに相談できるようになったこと、後輩が入ったことで彼はすごく変わりました。  もともと社会とつながりを持ちたいという意識が高く、仕事への意欲は高かったのですが、 そこに責任感が生れました。

——障がいを持つ人と一緒に働くことで何が得られますか。

彼らは会社の貴重な戦力になっています。でも実はスキルのことはあまり気にしていません。 できる仕事をしてもらえればいいと思っています。 それよりも大切なのは、彼らは仕事をしたい、したくないという意識が違うということです。 彼らはハンデを乗り越えて働きたいと心から思っています。生活のためにお金を稼ごうという意識も強いです。 働く意義に対しても彼らは自分の答えを持っています。そんな彼らと一緒に仕事をすることは本当に面白いですですよ。

——やはり障がいを持つ社員をこれからも増やしていかれるのですか。

増やしていきたいですね。でも障がいを持っている、持っていないにはあまりこだわっていません。 働く意欲はあっても、何かの事情で働けない人が働ける会社でありたいと思っていますので、 その結果、障がいをもっている社員も増えていくと思います。

——障がい者の課題を本業であるITで解決することを目指されているのですか。

最初は障がいをビジネスにつなげることには抵抗がありました。 でも障がいを持った人を採用すると、やはり彼らの生活が気になります。 制度や社会のあり方などを勉強したり話を聞きに行くようになると、不足していることも見えてきます。 今では、障がい者の課題をITで解決することは、うちの会社でしかできないことなのだと思っています。

——その1つの形が『うぇぶサポ』なのですね。

うぇぶサポ』は、自閉症や発達障がいを持つ人の特性を伝える「サポートブック」を インターネット上で作成・保存・共有できるサービスです。 日本自閉症協会の発表では、国内の自閉症・発達障がい児(者)数は120万人を超えていると言われています。 社会としてその障がいを受け入れて共存していく必要がありますが、外見からはその障がいの有無を知ることや 特性を理解することが難しく、その困難を解消するために勧められるのが「サポートブック」と呼ばれるものです。 障がいの特性、パニック時の対処法などを書いて学校や職場の人にあらかじめ読んでもらうことで、 受け入れやすい環境を作ることができます。 10月1日からはからは、自閉症や発達障がいを持つ人がもっと職場で働きやすくなればと、 法人向けに『うぇぶサポ』サービスの提供を開始します。

——これからもぜひITでいろいろな社会問題の解決を実現してください。

最初にお話ししたように、私は誰よりも、コンピューターの可能性を信じています。 コンピューターが世の中のためにあるものだということを、これからも証明していきたいと思います。  

有限会社奥進システム (ゆうげんがいしゃおくしんしすてむ)

本 社:
〒540-0027 大阪府大阪市中央区鎗屋町2ー2ー4イチクラビル4F
TEL 06-6944-3658 FAX 06-6944-3659
http://www.okushin.co.jp/

ソーシャルメディアドライブ
最近では、ソーシャルメディアを使い就職活動を行う(ソー活)という言葉をよく耳にします。しかし正しい使い方ができていない学生が多いため、個人情報流出問題などの問題が発生しています。 「ビジネスや地域おこし活動、そして生活におけるソーシャルメディア活用」を研究・普及促進する団体ソーシャルメディアドライブ。同団体代表である道端俊彦さんは、セミナーや勉強会を開き、ソーシャルメディアの知識や活用法を教えています。 今回は、現在就職活動中の当事者である、北村がお話をうかがいました。

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